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神宮前 瞬のつぶやきコラム

<ホテル編> グランドハイアット東京 −朝から晩まで食べ歩き−Part1 (2004/05/11 UP!)

平成15年11月

私、神宮前瞬は、スイートルームにアップグレードしてくれるチケット!(チェックイン時に空室があるときのみ)を握り締め、クラブラウンジの受付に優雅に差し出すも、あえなく撃沈。かなり期待して、宿泊客が少なそうな日曜日に予約したのに・・・。普通のグランドクラブルーム42uです。頭はスイート気分だったため、思い切り狭く感じられます。おまけにドデカイ森タワーがすぐ窓の外にそびえ建っているから、おもいきりカーテンも開けられない。「カーテンといえばね・・・、」春絵はボタンひとつでカーテンを閉めながら、「この前、病院から電話したじゃない。そのとき、待合室の隣に座っていた女の人が、急にものすごい音でバタンと雑誌を閉めて、両耳をギューッと押さえ始めたの。ああ、私の携帯のせいかなと思ったんだけど、気にしないで話してたらね、いきなり立ち上がって待合室のカーテンをガッと閉めたの。まあ、それでも私、真っ暗な中で瞬と電話してたけどね」

気を取り直して、早速1日目の昼食juniper(ヨーロピアンカフェ アンド テラス)へ向かいます。青山辺りの小奇麗なカフェレストランといった感じの店内は、六本木ヒルズから直接入ってこられる構造が功を奏して大繁盛。値段もお手ごろで、味もお気軽。「ジュニパーとアクアヴィット風味付けしたノルウェーサーモン」は少し酸っぱくて、これが北欧風なのかぁと一人で納得。リターン指数は2。半分くらいでナイフを置いた春絵は「私、あそこ大好きなの。もう何年も働いてない私に、おじいちゃん何て言ったと思う?この前、薬変えてもらったじゃない。あれ、頭痛くなるし、眠たくなるけど、わざわざ替えてもらうの面倒だから3週間我慢して飲み続けたら、『春絵さんはガンバリ屋さんだね』って言うの。『来れば薬替えてあげたのに』って言うから、ここに来るのもオックウでって言うと『そうだね、我慢強かったね』って言うのよ。歩いて5分のところなのに。生まれて始めて言われたわ。私、思わずディオールとD&Gの買い物袋、後ろに隠したわよ」

再び気を取り直して、SPA「NAGOMI」へ。ここのプールとスパが素晴らしい。パークハイアット東京のように光が差し込み、高層階の眺めを存分に楽しめるわけではなく、フォーシーズンズ椿山荘のようにヨーロピアンリゾート風でありながら伊豆の温泉が楽しめるわけでもないけれど、デザインが良い!プールサイドはタイルではなくダークブラウンのウッドデッキ。プール自体もタイルではなくダークグレーの御影。そこに張り出したジャクジーは、もう見飽きたジャクソン社(白色の円形で、周囲を排水用グレーチングで囲った良く見るアレ)のものではなく、圧倒的な照明を半透明プラスティックで包み込むように出来たフルオーダーの浴槽は、まるでぽっかりと浮かぶ光の宇宙船。デッキが水で濡れるとさっと拭きに来るスタッフ。途切れることなく泳ぎ続ける私の水しぶきと気持ち良さそうにジャクジーからすらりと伸びた春絵の足。リターン指数は満点の5。

夕食はThe French Kitchen(フランス料理)。キャットウォークが広々とした空間の中央を貫き、せわしなく、いや機敏に動き回るシェフたちの舞台、見せるオープンキッチンはオールステンレス。見えないレールの上を、決してかすめることもなく縦横無尽に行き交うギャルソン達にも無駄がない。そして、ここは六本木。フレンチレストランでよく見かける熟年の男性に若い女性。着慣れないスーツが初々しいカップルに混じって場違いなほどラフな格好をしたイマドキのツーショット。大きなテーブルをぐるりと囲み、とても賑やかに歓談する中高年のグループ。50を少し超えたマダムが、少し赤らんだ頬と危うげな足取りで、全員のサラダの上に一生懸命、木製の大きなコショウの瓶を回し掛けている。突然その瓶の底を眺め、大きな声でギャルソンに「これちょっと壊れているわよー!」。血のにじむベリーレアの仔牛を飲み込んだ春絵が一言、「壊れてるのは、あなたよ」。でも、私は好きです。半球型のソファに包まれるように座る私たちはこのストーリーのない様々な寸劇を盗み見て、聞きかじる。そう、ここにいる全員共通していることがある。ワンサイズ大きいジャケットを羽織った彼は、結び目のきついネクタイを引っ張りながら白い歯がこぼれる。大丈夫ですかと思わず聞きたくなるくらい真っ赤になった熟年男性の手を、テーブルの下でしっかりと握り締めるか細い手。シェフとギャルソンを集めて10人以上に膨れ上がった先ほどのグループは一列に並び、笑顔で記念撮影。シャッターを押したマダムは、私も写りたいとカメラを若年の男性に押し付ける。浮いているなんてこれっぽっちも思っていない裏原系の彼は、はにかんだように下唇を噛み、履きつぶした彼女のコンバースが店のBGMにリズムを打っている。それぞれがそれぞれの幸せで溢れているこの空間にリターン指数は4。 >>つづく


グランドハイアット東京
港区六本木6-10-3
TEL 03-433-1234(代表)
(アクセス・地下鉄六本木駅から徒歩3分)

http://www.grandhyatttokyo.com/

神宮前 瞬 (じんぐうまえ しゅん)
1971年生まれ。男。2匹のチワワと暮らしていましたが、最近ポメラニアンも
加わりました。 ネクタイを締めなくてよい仕事をしています。



ここは、ホテルやリゾートにあるライブラリーのように、気軽に読める文章をご紹介する別館です。旅に欠かせない「食」、旅先で見つけた「面白いもの」など、和める話題を提供していきます。ごゆっくりお寛ぎください。

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