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神宮前 瞬のつぶやきコラム

<旅館編> 強羅花壇 後編 (2004/02/03 UP!)

平成15年10月

「おぼっちゃま!追加の特別料理のメニューはこちらにございます!」。当たりなのかハズレなのか、32の私をつかまえて「おぼっちゃま」を連呼する担当の仲居さんは、とにかく声が大きくて早口。そして、素早い。春絵が部屋を気に入り、近いうちにもう一度友人と来たいというと、空いている日程リストをすぐに作成してきたのです。
   
春絵がお気に召したこの部屋は、広めの居間とゆったりとした寝室、これまた食卓でも置けそうな広い浴室に分かれています。寝室はまるで殿様がお寝みになるかのような白い屏風の立てられた凛とした空間。浴室は、檜の浴槽にブロウ装置が付けられたものとシャワーコーナーにダブルシンク、ラベンダー又はペパーミントの香り漂うミストサウナが設置されています。旅館とは思えぬ設備です。春絵はこのミストサウナがお気に入り。3回分のラベンダーを握り締め、3倍リラックスしてみるわと、こもりっきり。そして、窓の外には箱根の初秋。強羅花壇はロビーが最上階の6階にあり、下に行くほど眺めは悪くなります。私たちの泊まった4階は十分に眺望を楽しむことが可能。テラスに立ち、ひんやりした風を頬に受け、緑の空気を大きく肺に送り込みます。わざわざアジアのリゾートまで行かなくても、東京から近い場所にこんなに安らげる宿があるなんて。ゆっくりと目を瞑り、遠くに聞こえる透き通った木々の揺らぎに耳を澄ましていると、ブッ、ブーという車の音。えっ?よく見ると、すぐ近くに車道があります。ここは観光地・箱根のど真ん中なんだということを実感。
ここ強羅花壇には、温泉旅館にしてはビックリの充実したフィットネスジムと、写真の方が美しい屋内プールとジャグジーがあります。このプールへ行くエレベーターの中は赤一色。この旅館にある2基のエレベーターは赤と黒。スタイリッシュです。

子供が占領するプールの隅で、夕食を美味しくいただこうと必死で泳ぐ私。日が暮れるにつれてライトアップされるプール。その両側に5つずつ置かれたデッキチェアを含め、プール・ジャグジーのすべてを管理するたった一人の女性スタッフ。一見大人しそうな彼女が素晴らしい。私がデッキチェアに荷物を置くと、素早くバスタオルを持ってきます。ジャグジーの中でキョロキョロしていると、いつの間にか隣にいて「こちらのボタンを押されると15分間泡が出て、自動に止まります」。ひと泳ぎしてデッキチェアに戻ると、濡れたタオルから新しいタオルにチェンジ。もちろん私だけでなく、ここにいるすべてのゲストに、彼らが求めるサービスを言われる前にさり気なく。子供にはビート版。女性客にはエステの案内。凄い!泳ぎ疲れた私が更衣室で着替えようとすると、「すみません。中に入ります」と彼女がやってきて、「脱水をしますので水着をこの中へ」とビニール袋を置いていく。言われるまま水着を脱いでバスタオルを巻いていると、見ていたかのようなタイミングで一声かけて中に入って来て、水着を持っていく。着替え終わり更衣室を出ると、脱水され、きれいに畳まれた水着が入ったビニール袋を渡される。こっこっ、この女性は一体何者なのだ!?

部屋に戻る途中に売店があったので、強羅花壇オリジナルのお菓子でも買って行こうと覗いてみました。いくつかの菓子箱の前にそれぞれの味見用の菓子が、小分けしてラップに包んで置かれています。これは便利!春絵も私も友人知人といわれる知り合いが極端に少ないから、お土産といえばもちろん自分用。味見できるのは嬉しい限りです。でも、もうすぐ夕食なので甘いものは口にしたくないなあと思っていたら、隣の母娘がご試食。と、ここで私は凄い光景を目撃することとなったのです!(ここまで言うことはないかな?)試食する母娘に、ひとつずつ丁寧にお菓子の説明をするスタッフは、さり気なく、ホントさり気なく、味見し終わってお客の手に残ったラップを、「ください」と言って受け取ったのです。こういうものって、そこら辺に捨てるわけにもいかず、といってゴミ箱を探しに行くほどでもないし、なんとなく持て余しながら部屋まで仕方なく持っていってしまうものじゃないですか。そんなチョットした心配りに、私は感動してしまったのです。

待望の夕食は、品数も多く、見た目も美しく、味も文句はないけれど、これぞ!という感動のない食事でした。これは、朝食もそう。9月から料理長が替わり、料理が格段に美味しくなったという評判を耳にしていただけに少しだけガッカリ。「ウチは揚げ物がないから、若い方がいらっしゃると足りるかどうか、私、心配になってしまいます。おぼっちゃま、いかがです?」という仲居さんの心配は無用、量は十分です。食事の間、何度も言われた「おぼっちゃま」は、なぜか翌日には「若旦那」に変わり、仲居さんがお客を呼ぶ名称は何通りあるのだろうというのが、私の今後の研究課題です。

夕食後、大浴場の露天風呂に全身を大きく伸ばして、ゆったりと浸かっていると、ガタンゴトン、ガタンゴトンという電車の音。この旅館は箱根登山鉄道の強羅駅前にあることを実感。素晴らしい建築と安らぎの緑、パーフェクトに近いサービスを享受できるこの強羅花壇は、観光地・箱根、さらには駅前であることを、緑では隠せない音によって感じさせてしまう立地が、完全なる非日常を阻んでいます。でもまあ、近場の極楽といえるのではないでしょうか。私のリターン指数は5点満点の4。ラウンジやサロンの営業時間が短いため、パブリックスペースでゆったり過ごせる場所が少ないことと、唸らせる食事に出会えなかったことがマイナスの理由。

朝食のあと、春絵から、箱根の森を背景に「私とヴィトン」という題名の写真を撮るように命じられた私は、白のマルチカラーで目がプリントされたサック・ジギャンティックを、テラスでさり気なく持つ春絵を写し始めます。次に、衣装替えをして、マルチカラーを黒に持ち替えた春絵は、「今度は部屋の中で」と言いながら、テーブルにチョコンと座ると同時に「ギャー!」。テーブルからお尻をどかすと、そこには無残にひしゃげた春絵のサングラスが・・・。18金とダイヤで出来た、お気に入りサングラスは既に6本目。9時に食事を終えた私たちは、9時40分にはタクシーの中。修理で済むか、7本目になるのか、宝石屋に直行する私たちの超特急チェックアウトにも、完璧に対応してくれたスタッフの連係プレイは見事でした。


強羅花壇
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
TEL 0460-2-3331
(アクセス・箱根登山鉄道強羅駅歩3分)

http://www.gorakadan.com/

神宮前 瞬 (じんぐうまえ しゅん)
1971年生まれ。男。2匹のチワワと暮らしていましたが、最近ポメラニアンも
加わりました。 ネクタイを締めなくてよい仕事をしています。



ここは、ホテルやリゾートにあるライブラリーのように、気軽に読める文章をご紹介する別館です。旅に欠かせない「食」、旅先で見つけた「面白いもの」など、和める話題を提供していきます。ごゆっくりお寛ぎください。

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