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Today's hotel |今日のホテル Volume.106
Released at 17 Aug. 2005

越後長岡・よもぎひら温泉 和泉屋
新潟県中越地震から復活した佳味佳景の宿
長岡市の南東に位置するよもぎひら温泉で、新潟県中越地震により休館していた和泉屋が、8月1日にリマインドオープンしたと聞き、さっそく「がんばれ中越」の気持ちで宿泊してきました。
長岡からよもぎひら温泉に向かう道は、今でもところどころで復旧工事が行われ、手がつけられていない倒壊した家屋を目の当たりにすると、地震の爪あとを実感しました。
ところが、和泉屋に着いてみると、地震で受けた被害が完全に修復され、道中の光景を吹き飛ばすような、とても美しい宿であることに驚かされました。
中越を象徴する錦鯉が元気に泳ぐ玄関前の池や、大浴場入り口付近の立体的な造形、デザインホテルを連想させるロビーラウンジが印象的で、これらはいずれも被災後に行ったリノベーションの成果とのこと。一度は旅館の閉鎖を覚悟した経営陣の大災害をものともしない努力の結晶と、若いスタッフの一生懸命さが感じられる温かなもてなしにエールを贈りたい気持ちになりました。
さらに驚かされたのが、佳味の宿と断言できる食事の水準です。特に、長岡野菜にこだわる生産者から直接仕入れた野菜を使った料理の数々は、越後の夏を象徴する優しい味。これで1万円台半ばの価格帯はきわめてリーズナブル。「がんばれ中越」を抜きにしても、心から推奨できる宿だと思います。
よもぎひら温泉 和泉屋
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基本情報
名称: 越後長岡・よもぎひら温泉 和泉屋
所在地: 新潟県長岡市蓬平温泉
TEL: 0258-23-2231
FAX: 0258-23-1186
室数: 40室
主な施設: 男女別大浴場 貸切露天風呂 食事処
URL: http://www.yomogi-izumiya.com/
プロフィール: 2004年10月新潟県中越地震被災により、一旦休館し、05年8月にリニューアルオープン。以前は団体やグループ客対象の旅館だったが、リニューアルを機に個人客が利用しやすい宿を目指す。バリアフリー対応にも気を配っている。
泊まった部屋: 621号室 リマインドオープン記念インターネット平日プラン・2名利用 1名分 1泊2食 12,750円(税サ込み)
撮影時期: 2005年08月

詳細情報

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中越の象徴、錦鯉がお出迎え
和泉屋に着いて最初に目に入るのが、玄関前につくられた池で錦鯉が元気に泳いでいる姿。新潟県中越地震のあと、闘牛と並ぶ被災地域の象徴として有名になった錦鯉は、よもぎひら温泉の再生にふさわしい存在である。
地震の前にはロビー内にあった錦鯉の池を玄関前に移し、そのあとに、トップの写真のような、デザインホテルの一角かと思わせるようなおしゃれな空間を誕生させた。
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障子をうまく配したエントランス
そこかしこに美しい造形が見られる和泉屋の入り口にふさわしいエントランス。きちんと整えられたインテリアは、三姉妹の女将たち同様、明るい雰囲気が心地よい。
正面に飾られたフラワーアレンジメントの中心には、長寿と平和を象徴するハスの実が配され、ここにも災害からの復活への願いが込められているように感じた。
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みずみずしい山の緑に囲まれた客室
見晴らし館と名づけられた6階にある621号室は角部屋で、大きく切られた窓いっぱいに山の緑が広がり、とても明るい。10畳強の本間に約3畳の広縁がついていて、和泉屋では広い方の部屋である。
この部屋には外が眺められる風呂があり、洗浄機能付きトイレやダブルシンクの洗面所も清潔感があふれている。真新しい畳やフラットTVが新築同然のリニューアルを物語っていた。
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くつろぎへの配慮
広縁に置かれた椅子は座面の低く、楽にすわれる。素足で感じる畳の感触と相まって、とてもくつろげた。
見せていただいた他の部屋でも、掘りごたつに面して座椅子が置かれていたり、ゆったりした応接セットが設けられていたりと、洋式の暮らしに慣れたゲストや足腰の弱いお年寄りに配慮している。和泉屋では、こうした嬉しい心遣いが随所に見られた。
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サイズによって選べる浴衣
クローゼット下の引き出しには男女別に浴衣が納められ、サイズに応じて自分で選ぶことができる。こんな心遣いの方法があったのかと驚いた。上段が男性用、下段が女性用。さらに、この下には子供用の浴衣が納められている。
それぞれのサイズの浴衣が2組ずつあるので、汗をかいたら着替えられるのはうれしい。これも、細やかな心遣いのひとつ。
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山古志に連なるよもぎひらの山
よもぎひら温泉は旧山古志村の東の入り口に位置しており、6階の一角に作られた展望ロビーから見える奥の山の反対側は山古志である。
現在、よもぎひら温泉と山古志をつなぐ県道は一般車通行止めなので、観光客が訪れることはできない。聞くところによると、来年夏頃には、よもぎひら温泉から車で10分余りで、山古志を訪れることができるようになるらしい。
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地震の爪あと
地震で大きな被害を受けたよもぎひら温泉だけに、災害の爪あとが残っているのはやむを得ない。がけ崩れの跡があちこちにあり、1階ロビーの脇を流れる川の岸にも、復旧工事の途中なのか、大きな土のうがたくさん積まれている。
痛々しい光景であるが、和泉屋の復活に象徴されるように、着実に復興が進んでいるのも事実。こうした光景が、1日でも早く見られないようになるといい。
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新築かと思うほどの外観
完全に復活した和泉屋は、新築かと錯覚するほど、生まれ変わった。「佳景の宿」と呼ぶにふさわしい、山の緑と調和したベージュ色の壁面。
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おもしろい造りの湯どころ
「風の湯」「月の湯」「星の湯」と名づけられた3つの大浴場には、それぞれ露天風呂が設けられている。
大浴場の入り口は、3階から4階に至る高低差を利用して、立体的に構成されており、木の温かみを生かした幾何学的な空間を楽しむことができる。写真の奥に見えているお休み処では、お茶が供され、湯上りの体を冷やしながら、のんびりとくつろぐことができる。
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趣の異なる3つの湯
3つの大浴場は、時間によって男女が入れ替わるので、1泊すれば3つの湯を楽しむことができる。写真は「月の湯」の内湯。外には、石組みの間から温泉が流れてくる豪快な露天風呂がある。おしゃれな「風の湯」は、露天の「寝湯」が面白く、外の眺めが一番良い。
この温泉は、硫黄分を含む鉱泉を加熱・加水しているが、ちょっとぬるぬるする感じで、肌によさそうだった。
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長岡野菜が勢ぞろいする佳食の宴
写真の料理は、地震からの復興を祈って長岡の有機無農薬野菜4種を使った前菜で、奥から時計回りにトマトのシロップ煮、巾着ナスの冬至蒸し、かきのもと(菊花)の酢の物、肉味噌が入った里芋饅頭が並ぶ。
他にも、糸うり流し、馬鈴薯の蟹巻き、冷やしのっぺ汁など、関西風の味付けで、数々の長岡野菜が登場する。
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料理長の熱意が味を支える
甘エビのしんじょに、葛素麺を添え、岩茸とわさびをあしらった吸い物椀は、見た目にも美しい。
新たに就任した料理長が、地元の食材で関西風の洗練された料理を整える。
この料理長は、「自分の目で見ないとお客様が喜んでくれているかどうか判らないから」と、バイキング形式の朝食時にも、オープンキッチンの中で陣頭指揮に当たっていた。手抜きのない姿勢が、一転して味の濃い朝食時の「おかず」の味も支えている。
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出色のローストビーフ
旅館の洋皿としては出色だった和牛のローストビーフは、おいしそうな見た目どおり上手に焼けていて、ジューシーさが際立っていた。ルッコラをはじめとする葉ものの苦味もすがすがしい。
夕食には、このほか、お造り、天然鮎の塩焼き、海の幸の炊き込みご飯、関西風赤だし汁等が供され、質量ともに大満足だった。
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和の建築美を生かしたラウンジ
食事を終えて、1階にあるラウンジのソファーに座りくつろいでいると、吹き抜けの造形に目を惹かれた。左右の壁面に障子をあしらい、和風のデザインに旅館らしさをとどめながら、天井の高さを生かした大きな空間が構成されている。
一杯取りのコーヒーもすっきりした味わいで、気に入った。
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地元も応援
タクトを振っている可愛いブタさん。これは「がんばれ!よもぎひら温泉」をテーマに、地元の長岡造形大学の学生がデザインしたパネルの1つで、館内のあちこちに、こうした作品が飾られている。
和泉屋には、「地震で閉鎖後、アルバイトで食いつなぎながら再開を待ち、ここに戻ってきました。」という若いスタッフが多く、一生懸命サービスに努める姿勢がゲストにも伝わってくる。その応対に、今後も応援していきたいという気持ちが自然に生まれてくる、佳味佳景の宿だった。
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From Editor | 編集後記
昨日の宮城県沖地震にはびっくりしました。長い横揺れは遠くの大地震だということが、経験知として身についてしまったからです。震源地はどこかがわかるまで、ドキドキしていました。 幸い、震度6弱というのに、亡くなった方もなく、建物の被害も少なかったようで、よかったですね。何だか、年ごとに災害の起こる頻度が増しているような気がするのですが・・。

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