Today's hotel |今日のホテル Volume.58
Released at 27 July 2004

名月荘
アマンダリとの共通点・・そしてにっぽんの宿
ここ名月荘は、いわゆる「旅館らしくない旅館」の草分け的存在です。3,000坪の敷地にわずか20室しかない客室は、1室1棟か2室1棟の平屋建て。別棟の談話室をはじめ、ゲストが客室以外で過ごせる場所がたくさん設けられています。まさにリゾートの装置です。
のんびり過ごすのが目的の滞在でしたが、バリ島のアマンダリにヒントを得て作ったといわれていたので、その共通点を見つけるという楽しみもありました。
装置としてはいくつか見つけたように思いますが、むしろアマンにはない「にっぽんの旅館」のすぐれた点が印象に残っています。季節感あふれる部屋のしつらいが目を楽しませてくれました。夜用と朝用に2枚用意された浴衣は人前でのたしなみという観念を思い出させてくれました。ゲストがどんな場面でどんなことを欲するかを見通した、さまざまな小道具にも脱帽です。
滞在中ずっと「舞台みたい」という言葉が頭を離れなかったので、紹介記事もつい観劇記のようになりました。また訪れたいと思ったのは、チェックアウト後に洗車された車を見たからではありません。到着から出発までのあらゆる場面で感じた居心地のよさが忘れられないからです。
名月荘
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基本情報
名称: 名月荘
所在地: 山形県上山市葉山5-50
TEL: 023-672-0330  フリーダイヤル 0120-72-0330
FAX: 023-672-6905
室数: 20室
主な施設: 男女別大浴場 貸切温泉 談話室 ライブラリー ワインセラー
URL: http://www.meigetsuso.co.jp/
プロフィール: 1954年、同じかみのやま温泉の旅館古窯の隣に開業。96年現在の場所に新築移転した。日本旅館の新境地を開いたと評判になり、現在の小規模個性派旅館の草分け的存在。毎月満月の夜、コンサートを開催している。詳細なHPは見ているだけでも楽しい。
泊まった部屋: 朧(おぼろ) 2名利用1泊2食付 1名分 29,550円(税サ込み) 
撮影時期: 2004年7月

詳細情報

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劇的空間そのもののラウンジ

入り口を入って、まず案内されたラウンジは、一段低くなったぴかぴかの床に椅子とテーブルのセットが程よく間隔をあけて置かれている。ここでぶどうジュースをいただきながらチェックイン。
レンガ、照明、片隅のストーブ、遠くに見える蔵王連峰。すばらしい舞台装置に心を奪われて第1幕が始まった。
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客室への期待を膨らませる廊下

雑誌などで、よく「バリ島のアマンダリをヒントにした旅館」と紹介されていたので、どんな点が共通しているかを発見するのが、ここに泊まる楽しみの一つだった。
平屋づくりの建物が廊下でつながり、部屋の玄関まで靴のままで通される。ちょうどアマンダリのヴィラ(離れ)をつなぐ路地に屋根をつけた感覚。これは共通点のひとつかもしれないと思った。
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季節感あふれるしつらい

日本では、古来、四季折々に襖や屏風、掛け軸などを替えて、季節感を室内に取り入れる習慣があったっけ。現代ではそういったものを保管しておくところがないから、普通の家ではもう無理だなぁ。
そんなことを思い出させた室内の眺めが第2幕だった。よしずの引き戸が涼しげ。
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造りすぎない庭

泊まった朧(おぼろ)は、いちばん山ぎわにあり、山の斜面に面している。窓から眺められる庭は、自然のままの部分と人工的につくった部分がうまく調和して、いい背景をつくりだしている。
この「朧」は「夢」と2室で1棟になっているが、ネーミングのうまさに感動してしまった。
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和と洋 伝統と先端 その効用

主となる和室は11畳に床の間、押入れ、クローゼットがついており、隣の食事用の洋室は4畳半くらいの広さに小さなシンク、ミニバーがついている。夕食は和室で、朝食は洋室でどうぞとすすめられたが、長時間畳に座っているのが苦手なので、夕食も洋室の方でいただくことにした。
DVD、CDプレーヤー、フラットTV、空気清浄機と最新の電化製品を揃え、機能面はかなり充実している。
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旅館の欠点の解消策

旅館には、ほとんどの場合、朝スタッフにふとんをあげてもらってからでないと朝食がとれないという、ゲストに歓迎されないシステムがある。これに対して、名月荘では寝室とは別に食事室を設け、ふとんをあげなくても朝食がとれるようにしたのである。ふとんはチェックアウトまで敷かれたままだったので、望めば二度寝ができるだろう。
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ディテールにこだわったインテリア

外が眺められる浴槽のあるバスルームがついているが、これだけ大きな開口部なので、ほとんど外にあるような雰囲気。洗い場に埋め込んだような浴槽が、なお一層アマンダリのサンクンバスを思い起こさせた。
洗面スペースはトップも広く、使い勝手がよかったうえ、蛇口もおしゃれ。バニティーミラーまである。
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シーンの異なる憩いの場づくり

館内と敷地内のあちこちに、雰囲気の異なる憩いの場がある。ここは男湯のそばにある囲炉裏端。湯上りに冷たい麦茶をいただきながらボーっとしたり、なべに用意された山形名物玉こんにゃくをつまんだりする。朝には自家製のミックスジュースがミキサーごと置かれて自由に飲めるようになっていた。
この他、膨大な蔵書のあるライブラリー、コンサート会場にもなる別棟の談話室まであり、リゾートのファシリティに遜色ない。
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開放感のある貸切温泉

一つしかない貸切温泉は大人気のようで、何回か確認してもその都度使用中。ようやく朝風呂で使うことができた。石張りの浴槽は家族4人でも十分な広さがある。
露天風呂のついた大浴場同様、すべすべとしたお湯は少々温度が高く、長くつかっていられないのが残念だった。
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より一層の完成度を求めたい夕食

月替りのメニューは、繊細なグラスに盛られた前菜に始まり、かぼちゃ羊羹のデザートまで全12品。強肴を米沢牛ステーキ、鮎、岩牡蠣から選ぶ。一品一品スタッフが運んでくるが、間隔の具合を確認するなど、細やかな心遣いが感じられた。写真左が鮎の塩焼きと田楽、右が名物の手打ちうどんだが、味の濃い薄い、甘み、塩味、酸味などが、メニュー全体でバランスがとれていない感じで、少々期待はずれの第3幕だった。
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品数、味、量のバランスがよい和朝食

なんとも惜しい水準の夕食に比べ、翌日の朝食は充実していた。和朝食では、いろいろな味付けの料理が少量ずつ出されたが、どれもご飯に合うものばかり。卵料理は出汁巻きをリクエストしたが、ふっくらとした焼き上がりがよかった。和洋共通で大根のサラダがたっぷりと用意され、朝食の膳らしい雰囲気を盛り上げていた。もちろん土鍋で炊かれたご飯も美味。
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生ジュースだったら・・

洋朝食も卵料理が選べる。野菜の入ったコンソメスープが絶品。パンも美味しい。コーヒーはスタッフがその場で淹れてくれた。ただジュースが絞りたてでなかったのが残念。朝、自家製ジュースを囲炉裏端で出しているのだから、部屋で出すことも可能だろう。
俳優たちは公演中に、より高いレベルをめざして演技の修正をするという。名月荘も、次回訪れた時にはさらに進化しているにちがいないと思わせる終幕だった。
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From Editor | 編集後記
つい先日の深夜、日テレで放送されていた「東京ワンダーホテル」という番組を見ました。春に放送された第1話は見逃してしまったのですが、ストーリーを知らないとおもしろくないという内容ではありません。 ドラマの中にCMを入れるという試みも新鮮でけっこう楽しめました。都会に理想のホテルをつくるという目的で話は進んでいくのですが、本当につくってしまうかも・・と期待させるフレーズが気になって、秋に放送予定の第3話が楽しみです。

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