Today's hotel |今日のホテル Volume.62
Released at 31 Aug. 2004

ホテルニチマ倶楽部
工場の女子寮を生まれ変わらせたアートホテル
ホテルニチマ倶楽部は、1968年に建てられた麻製品工場を海外移転した跡地の再開発事業の一環として、1990年オープンしました。
ゆかりのある建物を残したいというオーナーの希望で、工場の女子寮の建物を活かしたホテルが誕生したのです。
2棟の女子寮の間にあった中庭に巨大な三角屋根をかぶせて天井の高い巨大なアトリウムに、両側の旧女子寮を客室棟に、というユニークな発想。アトリウムを見下ろす回廊沿いに客室を配し、外の眺めの平凡さを補って余りある内側の眺めを創造しました。
さらに、ここは館内にさまざまなアートが飾られ、アートをテーマにした部屋もある「アートホテル」。特に「かまくらのある部屋」は、次回はぜひ泊まってみたいと思わせる魅力的なインテリアでした。
北陸自動車道・砺波ICから車で5分の距離なので、それぞれ車で、金沢へ20分、立山・黒部方面へ1時間、世界遺産五箇山へ1時間という便利な立地。周辺観光の拠点として覚えておく価値のあるホテルだと思います。
ホテルニチマ倶楽部
メールマガジンの登録はこちらから!(by まぐまぐ)
基本情報
名称: ホテルニチマ倶楽部
所在地: 富山県砺波市三島町11-18
TEL: 0763-33-6611
FAX: 0763-33-6500
室数: 56室(うちアートルーム3室)
主な施設: レストラン4 ラウンジ バー ショップ
URL: http://www.nichimaclub.com/index.html
プロフィール: 1990年、工場の女子寮を改築してオープン。大きなアトリウムを見下ろす眺めを持つ部屋や、アート作家の作品としての部屋がある。 麻製品にちなんだ人の名前を冠したレストランやバー、ラウンジのど真ん中に巨大な石のオブジェと、ホテルらしくないコンセプトもおもしろい。
泊まった部屋: 1207号室 ホテルHPプラン利用 2名利用1泊朝食付き1名分 13,000円(税サ込み)
一休.comに各種プランあり
撮影時期: 2004年8月
投稿者: たけお

詳細情報

-
- -
広場のような巨大なアトリウム

三角形の巨大な屋根がつくりだすアトリウム空間の大きさには、目をみはらされる。左側にスタンダードツイン中心の客室棟の窓が並ぶ。 右側にはツインデラックスや「アートルーム」がある客室棟の廊下が見える。
ここが女子寮時代の中庭だったとは想像もつかない、魅力的な空間。奥に見えるのは、これも巨大なチャペルの入り口。
広々としたラウンジは、昼はケーキのおいしい喫茶スペースで、地元の奥様方や商談客にも利用されていた。
-
-


-
  -
今ではめずらしい鉄のサッシ

ラウンジから見たアトリウム。大屋根を支える白い円柱が何本も立っているのが特徴的である。ホテルのエントランスから見て左側の客室は、アトリウムに面しており、部屋の窓から巨大空間を眺めることができる。 黒い窓枠は女子寮時代のまま、今では珍しい鉄のサッシが使われている。
アトリウムの回りには、和食、イタリア料理、欧風料理、串揚げ等のレストランやバーが並んでいる。
--
-


-
- -
女子寮のモニュメント「女の一生」

ロビーの奥からエントランス方向を見た所。ここも天井の高い空間になっている。黒い石張りの床にソファーやアートが程よく配置され、フロントと向き合う壁面に、これまた巨大な絵がかかっている。 神田三千枝氏作「女の一生」という画題を聞き、女子寮を生かしたホテルということが強く意識されていると感じた。
ロビーのすぐ奥がアトリウムになっていて、チェックインもそこそこに、奥の空間に目がいってしまう仕掛け。
-
-


-
  -
実はスイートだったツインデラックス

宿泊したツインデラックスは、ツインルームといいながら、リビングルームとベッドルームが完全に分かれ、広さも60平米ほどの立派なスイート。女子寮の6人部屋を2室分使い、リノベーションして作ったものだけに、2人には十分すぎる空間である。
写真のリビングは、調度品の少ない簡素なつくりだが、固めのソファーがくつろぎにも、足を伸ばしての昼寝にもピッタリ。近くに広い道路があるが、繁った樹木がいい目隠しになり、音も遮ってくれるので気にならない。
--
-


-
- -
幅広で寝心地のよいベッド

広々としたベッドルームを奥の方から見た所。ダブルマットレスの幅広のツインベッドは、寝心地も良かった。2階のため眺望はきかず、窓の外はリビング同様緑のみ。
写真の右奥がリビングに通じるドアで、ベッドルームに入ってすぐ左側に大きめのライティングデスクがある。
リビングもベッドルームもシーリングライトがなく、いささか暗いのが難点か。
-
-


-
  -
20平米を超える広さの寝室

ラゲッジスペースの左側は、クローゼットとバスルームに通じるドア。TVはリビングとベッドルームに各1台あるが、むき出しに置かれているのが残念。
ライティングデスクの上には、東南アジア風の茶器のセットが置いてあり、無料のティーバッグも用意されている。
--
-


-
- -
広いが平凡なバスルーム

バスルームは、入ってすぐ左側に大きなクローゼットがあり、正面にシャワーブース、左側にバスタブとトイレのスペース、右側に洗面スペースという構造。内装、アメニティ共に平凡で、アートとは無縁。
深めのバスタブや洗浄機能付きトイレはありがたいが、魅力的なスペースとは言えない。
-
-


-
  -
シャワールームは立派だが・・

左側のガラスドアがシャワールーム。3方向からシャワーが出る凝った構造だが、ご覧の通り、バスタブのあるスペースとはまったく別の個室になっているため、意外に使いにくかった。
タオル類は3種類用意されており、特にバスタオルが厚手でかつ肌触りのよいのが印象に残った。
--
-


-
- -
満足の夕食

夕食は、ホテルには珍しい串揚げレストラン「礪波庵」でいただいた。串揚げならではの食材の組み合わせ方に創意工夫が感じられ、味も、おまかせで3,150円(税サ込)という価格も満足できるものだった。
写真は別注文のデザート。ココナッツアイスクリームにレンズ豆の甘煮と白玉を添えたもの。寒天に見立てたナタデココに徹底した無国籍ぶりが感じられ、楽しかった。
-
-


-
  -
大胆!アートをビュッフェ台に使う

アトリウムの1階フロア中央の花崗岩を組み合わせたオブジェが朝食のビュッフェ台。心地よいアトリウム空間が起きぬけの頭をスッキリさせ、冷たいジュースが出迎える。
パン類が質量ともに充実していて、卵料理、ソーセージ・ベーコン、サラダ、温野菜のバリエーションも合格点。和食もある。
「今、温かいポタージュスープが参りましたが、いかがでしょうか。」と声をかけてくれるスタッフの心遣いも好感がもてた。
--
-


-
- -
洒落たパティスリー

アトリウムの外側には、しゃれたパティスリーが店を開いていて、ケーキやパンを扱っている。夕食のデザートや朝食のパンがおいしいのも、良いパティシエがいる証拠。それをテイクアウトできる店である。ケーキ類は、アトリウムのラウンジでいただくこともできる。800円のケーキセットを注文したら、通常の大きさのものを2個選ぶように言われてびっくりしたが、きちんと作られていて、味も見ためもなかなかだった。
-
-


-
  -
アートルーム「かまくらのある部屋」

ここには、地元出身の芸術家がデザインした「アートルーム」が3室ある。ショールームさせていただいた「かまくらのある部屋」は、木工芸家・造形作家の富山省三氏デザインの「おらのかくれがーTONAMI」と名づけられた作品。 かまくらの入り口のような丸い扉を開けて入る、雪のように白いベッドルームに、手作りのブランコまである木工芸品だらけのリビングは、HPで見て「凝りすぎ」という印象をもっていたが、実際見てみると、いつか泊まってみたくなった。
--
-


-
- -
現代の「アズマダチ」

富山にアズマダチという言葉がある。これは、豪雪にも耐えられるような太い梁を渡し、黒い屋根と白壁が特徴的なアズマヤのことで、点在するアズマダチを屋敷森が取り囲む「散居村」の美しさは、富山県砺波地方を代表する風景である。 ニチマ倶楽部の三角屋根はこれをイメージしたもので、アトリウムの太い柱やホテルを取り囲む樹木もあわせて、まさに現代の「アズマダチ」。これもまた、1991年に「中部建築賞」を受賞したアートである。
-
-
Topics |トピックス
 
バックナンバーセレクション


-
Vol.27
澁川問屋
澁川問屋
海産物の倉庫を改造したホテル
GO!
-
Vol.35
水戸プラザホテル
水戸プラザホテル
アトリウムが心地よいホテル
GO!

From Editor | 編集後記
8月も今日で終わり。アテネ・オリンピックも閉幕し、睡眠不足の毎日から解放されて、ほっとしたのも束の間、強烈な台風16号が猛威をふるっています。お住まいのエリアではいかがでしょうか。 浸水や強風の被害を受けた方にはお見舞い申し上げます。ほんとうに今年の夏は気候の変化が激しく、地球がどうかしたのではないかと心配になってきました。早くおだやかな秋が訪れてくれないかと待ち焦がれる今日この頃です。

--
掲載している情報はできるだけ正確を期していますが、間違っている場合もあるかもしれません。 この記事に掲載された情報によって、読者が損害をこうむったとしても、発行者は責任を負うことができませんことをご了承ください。 読者の自己責任の範囲で参考にしてくだされば、幸いです。
この記事および画像を無断で転載することはご遠慮ください。
メールマガジンは、まぐまぐ、melma!、メルマガ天国のシステムを利用して配信しています。ご登録・ご解除は、各サービスを通じてお願いいたします。発行者はご登録のメールアドレスをはじめ個人情報を得ておりません。

メールマガジンの登録はこちらから。
ホテル・アーカイブズ通信 (マガジンID:0000110758)
Powered by MagMag :URL http://www.mag2.com/


その他のメールマガジン配信システムで登録・解除する場合には、こちらから
>>melma!
(m00089261)
>>メルマガ天国
(ID:18982)

--
ホテル・アーカイブズ通信
発行者:HOTEL ARCHIVES
ご意見、ご感想なんでもお寄せください:info@hotel-archives.org
Copyright : 2003-2004 Hotel Archives |ホテルアーカイブズ通信. All rights reserved.