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ホテル・アーカイブズ通信 - http://www.hotel-archives.org
HOTEL ARCHIVES
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ごあいさつ
このメールマガジンは、実際に泊まったホテル・リゾート・旅館を、泊まった人の視点でご紹介する目的で 発行しております。 国内、海外をアットランダムに取り上げていきますが、将来きちんと整理して、 データベースにしていこうと思っております。

ホテルの立地、その魅力を高めることは極めて大切です。今回取り上げた澁川問屋は、ホテル周辺の観光地化に成功し、 立地条件まで改善してしまった、街おこしの旗手が経営するホテル。知る人ぞ知るユニークなハードと来歴が興味深い、 一風変わったホテルを、ティンブリーミーさんがご主人のお話とともに紹介してくれました。
<追記> 2005年夏、大幅なリノベーションをしましたが、下記のリポートの部屋だけは従来のまま残されました。宿泊条件や料金は、澁川問屋に直接お問い合わせください。
「ホテル・アーカイブズ通信」 発行人
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ホテル・アーカイブズWEBサイトAnnexを更新しました。

Annex 旅先で見つけた「こんなもの」 クリスマス特集第2弾
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TODAY'S HOTEL Volume.27
Released at 02 Dec. 2003
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大正浪漫 澁川問屋
基本情報 | basic info about hotel
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名称:
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大正浪漫 澁川問屋
所在地: 福島県会津若松市七日町3-28
TEL: 0242-28-4000
FAX: 0242-26-6464
室数: 11室
主な施設: 男女別浴室  
URL: なし
プロフィール: 「問屋」というホテルらしくない名前の通り、海産物問屋の建物をベースに作られた。 コンセプトやデザインにすぐれ、町おこしや建築の世界で名声が高い。大正時代のおもかげを残す料理屋で 食事だけの利用も可能。
泊まった部屋: 2号室 1泊2食2名利用の1名 12,000円(税別)
撮影時期: 2003年9月
投稿者 ティンブリーミー
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詳細情報 | Details
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澁川問屋の宿泊棟(別館)は、会津若松の町なか観光の中心地七日町(なぬかまち)にある、 海産物の倉庫を改築した和モダンの建物である。もともと1868年創業の伝統ある海産物問屋。しかし、 ご主人の渋川恵男(ともお)さんが父親の死をきっかけに帰郷した頃には、「店もさびれ、街もさびれて シャッター通りと言われるような状態で暗澹となった」とのこと。
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七日町楽市通りに面した澁川問屋本館は、会津の歴史的建造物であり、会津の伝統料理を出す 料理屋である。宿泊客もここで食事をとる。渋川さんが音頭をとった「七日町どおり街並協議会」の長年の努力で 観光客ゼロだったこの地区の街並みは、会津若松でも有数の観光スポットに変身している。
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宿泊棟の入り口横にある、元ニシン蔵をそのまま利用した建物。「大正浪漫」というより、 超近代的なデザインに思える。中はロビーになっている。
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ロビーは一見して雑然としているが、和と洋が混在する不思議な空間である。 英国に遊学したご先祖が持ち帰ったアンティーク家具や骨董品の数々が置かれ、旧家の雰囲気を意識して 作ったかららしい。天井が高く、気持ちよく寛げる空間である。
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ロビーの壁にかかっていた絵。由来を訊くと「ホテルを創業した頃、近くの温泉で 宿泊を断られた女性の一人客が、警察から紹介されて、よく泊まりに来たので、いっそのことと一時期 レディスホテルにしていたことがありまして、その時の名残りです」とのこと。これもホテルの歴史、 街づくりの中間期のお話である。
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共用の洗面所は、壁がステンドグラスの凝ったデザイン。青いガラスの向こうには 道路がすけて見える。廊下も女性用のパウダールームも和と洋、新と旧が混じりあった空間になっており、 中庭には赤い鳥居が一列にならんでいるといった具合。なんだか映画のセットのようだった。
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宿泊棟の2階廊下を見通したところ。写真の左側が2階の廊下で、1階の廊下と吹き抜けに なっている。客室は1、2階とも中庭に向いて並んでいる。縦長の建物の端にもステンドグラスを配して。
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茶室を意識した、まことにシンプルな客室は、にじり口のイメージだろうか、窓も下側に切ってある。 ちなみに窓の外に鳥居の一部が見える。料金はごくごくリーズナブルで、部屋の広さによって1泊2食で 1人10,000円か12,000円。渋川さんは「部屋に風呂もトイレもないので当然です。その代わり、 ウチは料理屋ですから料理には自信があります」と胸を張る。
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渋川さんが「会津は山の中なので、海のもの、ただし昔のことですから乾物ですが、 それがご馳走でした」という料理。会津の裕福な家のハレの日の食卓をイメージした夕食は、にしんの山椒漬、 棒たら煮、干し貝柱のだしがきいたこづゆなど、会津の伝統料理が中心。旅先だからこそ食べたい郷土料理は、 ソフィスティケイトされ、美味かつ健康的に仕上がっていた。
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渋川さんおすすめのスポットが、澁川問屋から歩いて2分ほどの、会津七日町駅にある「駅カフェ」。 磐梯山の名水を使って水出しした、びっくりするくらい美味しいコーヒーを供し、「いわゆる土産物は置かない」方針のもとで、 会津各地から集められた食品や工芸品が並ぶオシャレな店は、ここがローカル線の駅だとはとても思えないような 賑わい空間をつくりだしている。
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<泊まってみて>
部屋にトイレもないという不便さを、建物全体の面白さや出される伝統料理のめずらしさが上回り、 とても楽しめた滞在でした。会津七日町は、街も宿も魅力的、値段もリーズナブル、買い物も楽しめる (夕食でおいしかった会津産のコシヒカリまで買っちゃいました)という、自分としてはちょっと珍しい くらい好印象を受けた町でした。再訪確実です。残念なのは、夕食に比べてあまりにも平凡な朝食。 あと1,000円高くしてもよいから一工夫してほしいと思いました。でも、その朝食後に駅カフェで 水出しコーヒーを飲めば、「つくづくいい旅だなぁ」という充足感にひたれること、請け合いなのです。
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編集後記 | From editors
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28日付日経新聞で、「ヒルトンの最高級ホテル コンラッド日本進出」というニュースが報じられました。 汐留にオープンするはずだったセント・レジス(スターウッド・グループの最高級ブランド)の代わりに、 「コンラッド東京」として2005年春お目見えするとのこと。セント・レジスファンには残念なニュースでしたね。 さて、来週は、ブレックファスト・ルームからの眺めがよかった、個人旅行者向きのローマのホテルをご紹介します。 相次ぐテロのニュースに心が痛みます。ついに日本人外交官がテロの犠牲になりました。平和であってこそ、安心して 旅をすることができます。旅は、価値観の違う文化や人々を知るうえでいいきっかけになると思うのです。 月並みですが、誰もが安心して暮せる世界になってほしいと心から願っております。
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