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Today's hotel |今日のホテル Volume.121
Released at 31 Jan. 2007

桜湯 山茱萸
上質の空間と食事を満喫する新たな「温泉オーベルジュ」
山形県南部の赤湯温泉にある「桜湯山茱萸」に行ってみようと思ったのは、DANCYUなどで活躍する柏井壽さんが食事を褒めている記事がきっかけでした。HPで確認すると、露天風呂付きの広い客室としては料金がとてもリーズナブル。さらに食事が美味しいならと、GW明けにさっそく訪れました。
殺風景と言えるほどの赤湯の街並みにひときわ目立つ佇まいが目当ての山茱萸でした。凝った看板と、黄土色の塗壁の奥に見える山野草の庭に、別天地への期待が高まります。シンプルながらも和モダンの意匠を尽くしたロビーを抜け、和室・洋室・寝室・露天風呂・専用の庭からなる、広々とした客室に案内されました。
午後2時チェックインで翌日正午チェックアウト。CD、DVD、書籍の充実したコレクションもあって、ゆったりとした滞在を楽しめます。寝室には、チェックインからチェックアウトまで布団が敷きっ放しになっています。部屋の露天風呂は浴槽が大きく、これだけでも十分なのに、男女別の立派な大浴場やかけ流しの露天泡風呂が完備。7室しかないため、ほとんど何時でも貸切状態という贅沢さを味わえます。そして、食事は期待通り。夜は、地元の米沢牛や山菜がたっぷり楽しめる、洗練された懐石料理、見て楽しく食べて美味しい朝ごはんも秀逸でした。
若いスタッフがマニュアル通りの対応しかできないという点は残念でしたが、全体の水準を考えればそれもご愛嬌。オーナーの趣味や哲学が強く感じられる珠玉の宿だと思います。
山茱萸
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基本情報
名称: 桜湯 山茱萸(さんしゅゆ)
所在地: 山形県南陽市赤湯740
TEL: 0238-43-3020
FAX: 0238-43-6458
室数: 7室
主な施設: 男女別大浴場露天風呂付き ライブラリー
URL: http://www.sansyuyu.jp/
プロフィール: 元は江戸後期(1854年)創業の「松葉屋」。大正5年桜の季節に温泉が自噴したため、「桜湯」に。2005年4月リニューアル・オープン。
泊まった部屋: 花筏 2名利用の1名分1泊2食(サなし税込み)平日23,250円
撮影時期: 2006年05月

詳細情報

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大小6つの三角屋根がお出迎え
およそ観光地らしくない街並み、殺風景な駐車場。桜湯山茱萸の立地条件は、決して恵まれたものではない。そこに建てられた黒い三角屋根の建物が大小6棟。エントランスを入ると、塀に囲まれて外の景色は見えず、庭や緑を含めて作られた「小宇宙的リゾート」。立地環境がハンデになっていない。
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気分良くチェックイン
エントランスを入ってすぐにあるラウンジは、金属製の照明と障子が同居する天井の高い和モダンの空間で、写真には写っていないが、上を見上げれば、巨大な木の梁が何本か見える。籐のイスにゆったりと座り、フレッシュジュースをいただきながら、チェックインの手続きを行い、スタッフから館内の説明を聞く。
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花筏という名の部屋
花筏というステキな名前の部屋に案内された。入ったところにあるのが、床の間、掛け軸、生け花といった定番商品が揃った和室で、食事はここでいただく。正面は、中庭に面した洋室。写真右手には、もう1つ和室が隠れていて、寝室はそちら。庭の奥には、洗面所と露天風呂があるという贅沢な構成になっている。無垢の木製家具や、庭に山野草を植えるなど、華美に走らない空間構成に好感を抱く。
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ジブリからバッハまで
テーブルもイスも、地元山形の家具作家の作品が並んでいる洋室には、木の温かみがあふれている。正面の壁際には、プラズマTVやDVD/CDプレーヤーが設置され、スピーカーはBOSE社製。パソコンのブロードバンド接続もここでできる。小津・ヒッチコック・ジブリの映画(DVD)、A.ムターのヴァイオリン・H・ヴァルヒアのバッハのクラシックCD等、オーナーの趣味が判るような貸出用ソフトの品揃えが面白かった。
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これがさんしゅゆの花
洋室の向こうにある小さな庭には、リニューアルから間もないこともあって大きな樹木は育っていないが、さまざまな山野草が植えられていて、春ならではの浅い緑が目をなごませてくれる。部屋の構成や庭の山野草が、1室ごとに異なるというこの宿。この庭には、宿の名前である「さんしゅゆ」や部屋の名前である「花筏」が植えられていた。盛りは過ぎていたが、これがさんしゅゆの花。ピーク時には黄色がもっと鮮やかだそうだが、はかなげで清楚な、この花の名前を付けたところに、宿の経営哲学を感じる想いがした。
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昼寝にも朝寝にも
22時間滞在ができるから、ゲストにとっては、昼寝も朝寝もたいせつな行事。到着した時にはすでに布団が敷いてあり、宿の人が出入りしなければ、ゆっくり休めるし、同行者にも気をつかわない。簡素な寝室には、モダンな読書灯だけが置いてある。障子を開ければ、目の前には山野草の庭。
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小宇宙的リゾート
円形のかけ流し露天風呂は、山野草の庭を見ながら、足を伸ばしてゆったりと入れる大きさ。屋根付きなので雨や雪の時も心配ない。塀で囲まれ、庭を見ながら入ってもらうという「小宇宙的リゾート」を象徴する存在である。入り口に当たる屋内部分に立派なシャワールームと洗面所があって、温かなところできれいになってから露天風呂を楽しむという、ゲストの動線を考えた構造が心にくい。
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2時間ほどかかります
ゆっくり時間をかけて、本当においしい、そして地のものを味わえる。この通りの夕食が楽しめるところは珍しい。品数は多いが、2時間ほどかけてゆっくりと供されるので、ちょうどよい量だと感じた。見た目にも美しい、言うことなしの夕餉である。前菜は、タケノコの木の芽和え、花見団子に見立てた串など色とりどりの料理に、八重桜の枝を添えた品。皿の上にも、サクラの花びらがあしらわれている春の一品である。
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米沢牛はたっぷり
少しずつ沢山の品をいただく夕食の中で、迫力満点だったのが米沢牛。1人前100グラムはあろうかという量をギョウジャニンニクと一緒に焼いてほおばる。充実感を与える一品である。
このほかに、吸い物、お造り、洋皿、茶巾寿司、白魚の卵とじ、タケノコ御飯等が供され、いずれも関西風の繊細な味付けが光っている。デザートの卵の殻に入ったプリンがかわいらしかった。
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贅沢な大浴場
部屋にいるのに飽きたころ、大浴場に行ってみる。天井が高く、広い内湯はモダンなデザインで、ほとんどの時間は貸し切り状態となる。ただし、内湯は循環式なので、かけ流しじゃないと嫌と思う人は、外にあるかけ流しの温泉ジャグジーを楽しめる。部屋の庭にくらべればずっと広い庭を眺めながら、泡の中で疲れをいやせる。7室の旅館としては、非常に贅沢な施設であり、広さである。
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マッサージ機能付きライブラリー
大浴場の前にある「湯上がりライブラリー」には、写真集や美術書、谷崎・川端・司馬の文学書を中心とする書籍類が並んでいる。前述のDVDやCDもここから借りていくことができる。
写真の手前側に背の部分だけ写っているのが、最新式のマッサージチェアで、体への当たりが柔らかく、手足もしっかり揉んでくれるという優れもの。
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おかゆと御飯のダブル攻撃
アサリたっぷりのみそ汁が嬉しい朝御飯は、ざる豆腐やサラダのほかに、沢山の種類のおかずが一口ずつ並ぶ。写真に写っているのはおかゆ。続いて御飯も供され、おかず達はおかゆの薬味と飯の友に分かれていて、どれも真面目に美味しく作られている。目移りするほどの種類に思わず箸がすすみ、思わず満腹になってしまうが、チェックアウトは正午。朝食のあと、朝寝も良し、朝風呂も良しの無為な時間を堪能できる。
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From Editor | 編集後記
新しい年を迎え、早やひと月たってしまいました。だいぶ間があいてしまいましたが、発行することができて、うれしく思っております。好きなスキーも雪に恵まれず、今年はあと1回できればいいかなぁ。少し「冬」らしさを感じてみたい今日この頃です。

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