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Today's hotel |今日のホテル Volume.96
Released at 31 May 2005

山代温泉 葉渡莉
団体から個人と女性へ・・進化する温泉旅館
葉渡莉の和モダンの極みのような露天風呂付き客室は、定番のアイテムが並んでいても、やはり魅力あるものでした。高級旅館の象徴のような分厚い座布団と脇息が並んだ和室と、フローリングのベッドルームとの対照的な造りがまず秀逸で、ライティングも凝ったものです。
12畳半の和室と約10畳のベッドルームに、どれも十分な広さの露天風呂、ベランダが付いているという部屋は4人家族でも狭さを感じないでしょう。葉渡莉の場合、これに大型のフラットTV、自動マッサージ機、空気清浄機、ミストサウナなど、最新鋭の機器が加わります。部屋付きの露天風呂もTV付き。これにはちょっと驚きました。
部屋のハード面は文句なしで、通常客室よりも値段の張る露天風呂付き客室の方が人気という状況がよくわかる部屋でした。
以前、「よろづや」という名前だったこの旅館では、団体客に頼らない旅館経営を目指す作戦が功を奏し、現在、お客様の7割が女性、8割が個人客と聞きました。ロビーやショップの造りは美しく整備されていても昔ながらの大型旅館を感じさせますし、館内のクラブや夜食処も個人旅行には余計ものですが、旅行市場の変化に即した大型旅館の「変身」を十分に感じさせる優れた宿だと思います。 水準以上の、でも「すばらしい」とまでは言えない食事をあと一工夫すれば、さらに輝きを増す宿になると感じました。
葉渡莉
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基本情報
名称: 葉渡莉 (はとり)
所在地: 石川県加賀市山代温泉
TEL: 0761-77-8200  0120-11-4628
FAX: 0761-77-1900
室数: 59室
主な施設: ラウンジ 男女別大浴場 カラオケルーム エステサロン
URL: http://hatori.jp/
プロフィール: 1998年、よろづやを改名、改装してオープン。葉渡莉の名前は、山代温泉にある「服部(はとり)神社」にちなんだ当て字で、「葉」には、「木のぬくもり、葉のやさしさ」をテーマとする旅館のメッセージがこめられている。2004年、さらに特別室を含むリニューアルを実施。
泊まった部屋: 673号室 あにばあさりぃぷらん 2名利用1泊2食1名分 31,500円(税サ込み)
撮影時期: 2005年04月
投稿者: ピクシー

詳細情報

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華やかな室内
泊まったのは、藤の棟6階の新館タイプの部屋。部屋の入り口で靴を脱ぎ、2畳ほどの玄関間に上がると、右手にかなり広めの洗面所とトイレがある。
正面の襖を開けると、12畳半の和室と奥に板張り床のベッドルームが見通せる。障子の桟もおしゃれなデザイン。アクセントの色使いが鮮やか。
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居心地のよい空間
ベッドルームのガラス戸の外には山代温泉の温泉街を見渡すベランダがある。写真は、そのベランダから入り口方向を見たもの。写真の左手には、部屋付きの露天風呂がある。
設備、内装はすべて真新しく、部屋の中の快適さには、文句の付けようがない。夫婦二人とか、小グループで楽しむちょっと贅沢な旅に、おすすめの空間だと思う。
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寝心地のよかったベッドと枕
ベッドは、高さ20センチほどの木製の台の上にマットが置かれたもの。ベッドごとに2つずつ並べられた、昼寝用兼装飾用と思われるクッションの色が鮮やかである。
ベッドは、今はやりの低反発ウレタン仕様のマットレスで、スウェーデン・テンピュール社製の高級品である。頭の形に合わせて形を変える低反発ウレタン枕も、初めての経験だったが、寝心地がよかった。
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最新機器が並ぶ
ベッドの正面には、大型のフラットTVとマッサージチェアが仲良く並んでいる。この2つが大きすぎるため、応接セットの周辺がやや窮屈に感じたのは事実だが、せっかくの非日常空間を際だたせるためには、なかなか良い演出だと思った。
照明は、直接照明と間接照明を上手に組み合わせ、好みで部屋の明るさと雰囲気を変えることができる、凝った仕掛けである。右に見えるのはバスルームへの入り口。
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ミストサウナと露天風呂
バスルームは縦長で、手前から洗面所、シャワールーム兼洗い場、その奥のガラス越しに露天風呂が見える構造になっている。シャワールームに設置されたミストサウナ(白いボックス)が目新しい。
露天風呂は白木の八角形で透明なお湯があふれている。温泉街の真ん中のため、板塀で囲まれているが、あちこちに隙間があり、風が通り抜ける空間は露天そのものである。
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TVを見ながら露天風呂も風流?
部屋付きの露天風呂にTVが備わっているのには驚いた。一流ホテルのバスルームでは、しばしば見かける光景だが、TV付きの露天風呂は珍しい。
写真でも判るように、景色を楽しめる露天風呂ではないために考えられた趣向なのだろうか?決して風流とは言えないが、視点の面白さは感じられた。もちろん、湯船につかり、夕暮れ時の空の色や光の変化を楽しむ、そんな露天風呂本来の楽しみ方ができることは言うまでもない。
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使い勝手がよくない流行のシンク
入り口近くにあるトイレは、男性用と通常の両方が備わり、何となく部屋の改造の経緯を感じさせる存在である。隣に焼き物でできたシンクの備わった洗面所がある。
このシンク、見た目は良いが、形のせいで水がはねやすい。アメニティが置かれていて、多くのゲストが洗面や歯磨きをこちらですると思うので、やや問題である。
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温泉街の真ん中にある玄関口
山代温泉・温泉通り商店街の中心に位置する葉渡莉の玄関口は、和モダンの客室と比べれば、驚くほど地味かつ平凡である。ちなみに、看板の葉渡莉の文字は、歌手の加藤登紀子さんが書かれたもの。
旧「よろづや」旅館を改名・改装し、個人客、特に女性に人気の旅館に変身したということを知った上で見てみると、かつて団体客をメインにしていた大型旅館の進化の跡として興味深い。
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大型旅館のイメージも残るロビー周辺
ロビーも、インテリア、照明とも凝っていて、センスの良さを感じるが、昔ながらの大型旅館のロビーというイメージもまだまだ残っている。個人客には必要のないクラブや夜食処は団体客用にやはり必要なのか、あまり面白味がない土産物コーナーは変わっていくのかなど、さらなる変身の有無に興味をそそられる。
客室内ではほぼ完璧の「個人客のくつろぎ」への対応が、パブリックスペースにはどう現れるのだろう。
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「梅がゆ」の酸でいただく秀逸な酢の物
夕食には、今ひとつインパクトを感じられなかった。美しく盛りつけられ、どの料理もそれなりに美味しいが、「また食べたい」と思わせるほどの食材や料理が少ない。
ただし、酢の物は、見た目の美しさ、味ともに秀逸だった。透き通る程身のきれいなアジと緑鮮やかなワラビに「さました梅がゆ」が添えられ、さわやかな梅の酸味と色の対比がとても印象的だった。地酒を揃えた「利き酒セット」の値段もリーズナブルだった。
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夕食後に嬉しい「白山霊水」のサービス
酒の入った夕食後に、部屋に届けられた「白山霊水」の入ったポットに、葉渡莉の心づかいを感じた。酔い覚ましの水が心地よい。ただし、ポットに部屋番号が書かれたプラスチックの札が付いていたのは、和モダンの部屋には似合わない。大型旅館時代の習慣がそのまま残っている部分なのだろうと思った。
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「畑のおさしみ」が印象的な朝食の膳
朝食は、作りたてのだし巻き卵や岩ノリの餡がかかった豆腐などに、工夫が感じられる。全体的にはまずまずだったが、「畑のおさしみ」と名付けられた生野菜の盛り合わせがすばらしかった。大根、キャベツ、プチトマト、ピーマンなどを粗塩か生姜味噌でいただくだけの品なのだが、「最高品質の有機野菜」と紹介された通り、大根の甘さやトマトの旨さなど素材の持つ力が群を抜いている。生姜味噌の味もすばらしく、二食の中でもっとも印象の強かった一品だった。
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再生する紅殻格子の街並み
温泉街を散歩していて印象的だったのが、所々にある紅殻格子。写真は、新築された「はづちを楽堂」だが、昭和初期には全体が紅殻格子の街並みだったという。
葉渡莉が、最近「べんがらや」という和のビストロを開くなど、紅殻格子の再生は進みつつある。魯山人の旧宅や九谷焼の窯跡など、観光名所が揃う山代温泉だが、訪れる人を増やすためには魅力的な街並みが欠かせないことを意識した町づくりに心強いものを感じた。
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From Editor | 編集後記
サッカーファンの発行人にとって、金曜日深夜のワールドカップ最終予選バーレーン戦は、目下一番の関心事です。先日のキリンカップの連敗を見ていると、ダメなんじゃないか、いやヒデやシュンスケが入れば大丈夫・・などと思いめぐらしています。 スポーツはよく筋書きのないドラマだと言われますが、旅もまた筋書きのないドラマではないかと思います。予定通りにならないことやハプニングが起こったりすると、解決するのはたいへんですが、案外そんな旅の方がいつまでも印象に残ったりするもの。スポーツの試合も、勝利への道のりが困難なほど面白いのかもしれませんね。

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