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Today's hotel |今日のホテル Volume.93
Released at 10 May 2005

村杉温泉 環翠楼
森の中でくつろぐ贅沢、静寂を味わう宿
新潟県の北部、新潟市から車で1時間ほどの所にある村杉温泉の環翠楼に泊まってみようと思ったのは、知り合いの「旅の達人」達が、口を揃えて環翠楼のことを褒めていたからでした。 森の中に明治、大正、昭和の建物を残している温泉旅館というところにも興味津々。最近、特に温泉旅館は、近代的なところよりクラシックなところ惹かれていたからです。
実際に泊まってみると、予想していた以上の森の深さと、目の前いっぱいに広がる緑の美しさに圧倒される思いがしました。庭を散策していると、目に入るのは、右の写真のような建物ばかりです。これは、大浴場に近い大正時代の建物。 泊まったのは明治の間のひとつで、離れになっていました。明治時代の建物とはいっても、メンテナンスがきちんとされ、広々とした部屋はすぐになじめる雰囲気を持っています。 新緑の木々を窓越しに眺めながらくつろいでいたら、あまりの静けさに驚きを覚えるほど、閑静な宿でした。
昨今の離れ形式の和モダン旅館が越えられない「ほんものの良さ」がここにはあると思いました。確かに温泉は大浴場のみで、露天風呂もありませんが、ちょっと昔の温泉旅館を実体験できる、稀有な存在だと思います。食事の水準やすばらしい環境から考えて、1泊2食で1人2万円以下とはうれしい限りではありませんか。
村杉温泉 環翠楼
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基本情報
名称: 村杉温泉 環翠楼
所在地: 新潟県阿賀野市村杉温泉
TEL: 0250-66-2131
FAX: 0250-66-2553
室数: 12室
主な施設: 男女別大浴場
URL: http://www.van-rai.net/kansuirou/
プロフィール: 一番古い建物が130年経過。創業は、少なくともその前だが不明とのこと。6,000坪といわれる敷地内は森とも呼べるほど緑ゆたか。四季折々の風景が楽しめる庭もみごと。「明治の間」3室、「大正の間」4室、「昭和の間」5室。
泊まった部屋: 明治の間 13号室 1泊2食 2名利用1名 19,050円(税サ込み)
撮影時期: 2005年04月

詳細情報

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杉木立の中のエントランス
3つあるエントランスの中で一番印象的なのが、この北入り口。石柱にかけられた環翠楼の看板の向こうの杉並木沿いに、一直線の道が続いている。6,000坪の敷地ならばこそ可能な空間の奥行きは、到底1日10組までという小さな宿の入り口とは思えない。森を抜け、建物が見えてくるあたりに池があり、ちょうどメインの入り口の反対側につきあたる。
ちなみに、メインの入り口は、この旅館の風情に合わないので、北入り口から入ることをおすすめ。
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森の中を続く道
フロントの辺りから、今来た道を振り返ったところ。森はますます深く、村杉温泉の素朴な温泉街の一角にあるとは信じられないような静寂に包まれている。
右側に、「明治の間」の1つである離れが見える。木造の建物は、森の中に溶け込むようで、期待していた以上の雰囲気。
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奥まったところにある13号室
敷石を踏んで、池沿いの道を森に囲まれた白壁の13号室に向かう。ここも明治の間の1つ。苔むした石灯籠が宿の歴史を象徴しているよう。
ここは、廊下でつながれた離れの中でも一番奥にあるので、尚更静かな部屋だった。ただし、大浴場からは一番遠いので、温泉三昧をしたい方は「大正の間」をリクエストした方がよい。
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緋毛せんが鮮やかな明るい広縁
チェックインは部屋の中で。玄関を入った途端、焚きしめられた香のほのかな香りと、緋毛せんが鮮やかな明るい空間に抱きしめられるような感じがした。庭に面した側がすべて硝子戸なので、とても明るい。古い建物なのにメンテナンスが良く、部屋の中が清潔そのものであることに感心した。
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絵になる眺め
広縁からの眺め。ななめ向かい側にある2階建ての離れは、森の中に溶け込むような明治の建物。まるで一幅の絵を見るように美しく、他の離れ形式の旅館では、ちょっと見られない景色の大きさを感じた。
各部屋の中で一番眺めの良いのは、この部屋だろう。向こうからも丸見えになるが、簾や雪見障子で適当に目隠しはできるので問題はない。開放的な空間をかえって気持ちよく感じる。
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二間続きの広い室内
二間続きの離れは、手前の居間が7畳、夜には寝室となる奥の部屋が7畳で、両方に床の間が付き、広々としている。広縁も約8畳と十分な大きさがある。
よく手入れされた室内はエアコン完備で水回りも良く、中に入ると明治の建物だということを感じさせない。右奥に、洗面所と内風呂、洗浄機能付きトイレがある。
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硝子戸の清掃がたいへんそう・・
部屋の奥から広縁の方を見たところ。左手に玄関があり、さらに左側には短い内廊下がある。内廊下の先には鍵をかけられる扉があり、フロント前経由で大浴場まで通じる廊下に出られる。大浴場には、庭を抜ける近道で行く方法もある。
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体がよく温まるラドン温泉
1棟だけの「大正の間」の一角にある大浴場は、露天風呂もなく、浴槽もそんなに広くない。これは婦人用だが、貸切風呂もなく、最近の旅館としては、かなり地味な存在だと思った。ただ、10組の旅館としては十分な大きさだし、26度の源泉を加熱した単純放射能泉(ラドン泉)のお風呂は、よく温まる。これでは物足りないという人は、宿から徒歩1分の村杉温泉共同露天風呂へどうぞ。宿泊者には、大人300円の入浴料を100円に優待してくれる。
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「大正の間」の玄関
大浴場のある「大正の間」の玄関。戦前のように右から横書きされた「楼翠環」の看板がかかり、昔の小学校か役場の入り口のようでなかなか良い。玄関の両脇に番傘が飾られているのも、宿の雰囲気にまさにぴったりの演出で、ノスタルジーを感じさせる。
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美しい山野草がひっそりと咲く散歩道
桜が散ったばかりの季節に満開を迎えていたのがシラネアオイの花。直径8センチほどの薄いピンクの花が散歩道沿いの森の奥にひっそりと群生していた。この他、雪割草、イカリ草、イチリン草、カタバミ、春蘭、一人静などの山野草が季節ごとに咲き、椿、桜、山吹、ツツジ、牡丹も多い。
秋には紅葉が美しく、敷地内で山菜やタケノコ、キノコも採れる宿。「山野草のピークはせいぜい10日ほど」だからこそ、季節ごとの楽しみが生まれる。
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リクエストに応えてくれた夕食
今回は19,000円のコースを選んだが、その際、料理の量を少なめに、メインをステーキにしてほしいとお願いしたところ、写真の前菜のほか、お造り、土瓶蒸し、鮑と山菜の天ぷら、ずわいがに、ステーキというメニューだった。桜鯛湯引き、南蛮海老、帆立などのお造りの上質さと、山菜の香りの高さが印象的だった。
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純和風旅館のサーロインステーキ
メインをステーキにと考えたのは、「ステーキコース」があったから。まずまずのステーキで満足できた。
良かったのは、食卓の上で炊き上げる山菜釜飯で、味のバランスも良く、ふっくらと炊け、香ばしいおこげもできる。固形燃料でも美味しく炊けるよう計算されていることに感心してしまった。味噌汁の具を、鯉か豆腐から選択できたのも嬉しい心配りだった。
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作りたての豆腐が美味・・朝食
夕食よりも印象が強かった朝食。中でも、村杉温泉にある有名な「川上とうふ」の豆乳を使い、卓上で作る豆腐がすばらしかった。やや甘めの胡麻ダレとポン酢が良い。おいしい豆腐に薬味は不要。女将さん手作りの玉子焼きや、地元のおばさんが作る田舎惣菜も美味しくいただいた。
最後は、徒歩4、5分の「五頭山麓うららの森」で、新鮮な地物野菜と地卵を買って帰ることをおすすめ。
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From Editor | 編集後記
GWが終わり、日常生活が始まりました。連休明けが月曜日だったので、多くの方がいつもより1週間を長く感じるかもしれませんね。 発行人も、仕事モードに早く切り替えて、いつもの調子を取り戻さなくてはと自戒しております。そろそろオープン・エアのレストランで、遅めのランチなんて、気持ちよさそうですね。

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